「日本酒」の酒母・酛
❖ 酒母・酛(もと)
酒母とは、「酛」とも呼び、日本酒醸造のメインとなる「醪(もろみ)」造りの前段階で、予めに「清酒酵母」を大量に純粋培養する工程。この酒母の仕込み方法の違い、乳酸菌で乳酸を生成する「生酛系」と、乳酸を直接添加する「速醸酛系」に別れ、酒の風味にも違いがあります。
・ 速醸酛(そくじょうもと)
酒母の仕込み始めに必要量の「醸造用乳酸」を添加し、優良酵母だけを早期に培養して雑菌が繁殖するリスクを最大限抑制します。現在、9 割の日本酒がこの製法です。
仕込み温度は18~20℃と比較的高温。愛知県の常滑で試験醸造され、1910 年に実用化されました。
・ 生酛(きもと)
江戸初期に確立された製法と伝わり、「山卸し」という桶で蒸米を撹拌して乳酸菌による乳酸発酵を促し、酒母をつくります。仕込み温度は5~9℃。雑菌の繁殖し難い冬場の作業で「寒酛」とも呼ばれました。技術や手間を要しますが、、複雑で濃厚な深い味わいを生みます。
・山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)通称:山廃
予め、汲水に麹を入れて撹拌した「水麹」を用いることで生酛造りで行う「山卸し」作業を廃止した製法が「山廃」です。1909 年、国立醸造試験所の嘉儀金一郎氏が開発。福島県の会津で実用化され、生酛系酒母に分類されます。
・水酛(みずもと)/ 菩提酛(ぼだいもと)
日本最古の酒母。15 世紀の室町時代の「多聞院日記」にも記述がある技法で、生米を水に浸して天然の乳酸菌による発酵を促し、酸を高めた乳酸酸性水「そやし水」を使って酒母をつくります。奈良の菩提山正暦寺が発祥の地と云われ、かつて廃れた製法でしたが、1996 年に奈良県内10 酒蔵による「菩提酛による清酒製造研究会」が発足され、1998 年、菩提酛を復活させました。
